空白‥‥!

最近、知り合いの一人暮らしのご婦人が亡くなられた。

いや、亡くなられていたのだ。

 

早く気付いてあげられなかったことに、

申し訳なさでいっぱいである。

 

「そんなに年ではないから、大丈夫だろう」という安易な思考の停止がもたらしたことなのか。心の空白がもたらしたことか。

 

近年、新聞で一人暮らしの人が誰にも気付かれずに亡くなっていた、という記事をみかける。

 

「隣近所、家族親族は何をしていたんだ!」と憤慨していた。

「なんて冷たい人たちが増えたんだろう!」と嘆いていた。

 

そんなことは無かった、みんな心配していたのである。

どこまで立ち入って良いかわからなかったのだ。

最近、その婦人は人嫌いで、入口に柵をして出てこられなくなっていた。

隣の方は心配して、日頃から気を配っておられた。

それをまた、婦人は「お節介」と余計に引き籠もり状態になっていた。

 

初夏の頃、偶然帰宅途中の婦人とすれ違った。

「こんにちは!」と声をかけると、うつむいて歩いておられたせいか、ひどく驚かせてしまった。 

小さく歌を歌いながら、うつむき加減にはずむように歩く姿は幻のよう。

 

夕方、水まきをするとき、台所に灯りがともっていた。

「夕食の準備なんだ」と勝手に思い込んでいた。

 

他人を心配しない、考えない、感じない、そんな心になっていたのかと、哀しく、申し訳なく、反省する日々。